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【書評】『星の王子さま』に再会して。私たちが忘れてしまった「目に見えない」大切なこと

「大人は誰だって、初めは子供だったのだから(でもそのことを覚えている大人は、あまりいない)」

この有名な献辞から始まる物語を、大人になってから読み返してみました。子供の頃に読んだ時よりも、今の自分に突き刺さる言葉があまりに多くて、驚いています。

「数字」でしか世界を見られなくなった私たち

この物語の中で、大人たちは「数字」が大好きだと皮肉たっぷりに語られます。

大人たちは決して本質的なことについては質問しない。「その子の声はどんな感じ?」「どんな遊びが好き?」とは聞かずに、「何歳?」「お父さんの収入は?」と数字ばかりを欲しがる。

振り返ってみれば、今の私も「年収」「フォロワー数」「コスパ」「タイパ」……そんな数字ばかりを追いかけて、その先にあるはずの「その人らしさ」や「心のときめき」を置き去りにしていたかもしれません。

「責任」が生む、世界に一つだけの価値

物語の後半、王子さまは地球でたくさんのバラに出会います。でも、王子さまは自分の星にあるたった一輪のバラの方がずっと大切だと気づきます。

「君が君のバラのためだけに使った時間が、君のバラをあんなにも大切なものにするんだよ」

私たちは効率を求め、すぐに手に入るものを大切にしがちです。しかし、本当に自分にとってかけがえのないものになるのは、手間をかけ、時間をかけ、向き合ったもの。

そして、狐が教えるこの言葉が深く胸に響きます。 「君はなつかせた相手に対しては、ずっとその責任があるんだよ」

愛すること、大切にすること。それは単なる感情ではなく、そこに伴う「責任」を引き受けること。大人の私たちが忘れてはいけない、愛の本質がここにありました。

「心で探す」という勇気

「大切なことって目には見えない。目では何も見えていない。心で探すしかない」

情報が溢れ、可視化されることが正義とされる現代において、「目に見えないもの(=心、信頼、愛情、思い出)」に重きを置くのは、実はとても勇気がいることです。

今回、この本を読みながら「子供だった頃の自分を思い出そう」としている自分に気づきました。

しかし、皮肉なことに、「子供時代を思い出そう」と努めることこそが、自分がすでにその純粋さを失った「大人」になってしまったことの証明なのかもしれません。かつての私は、思い出そうとしなくても、ただその瞬間を「心」で生きていたのですから。


結びに:大人だからこそ、この本を

『星の王子さま』は、子供向けの童話ではありません。 数字に追われ、効率に縛られ、心の目を閉じかけている「元・子供」である私たちのための、静かな処方箋です。

皆さんも、今夜はスマホを置いて、心の中の王子さまに会いに行ってみませんか?

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